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「【解説】娑羅双樹」

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 「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」という『平家物語』の冒頭はよく知られている。お釈迦様は入滅の場所として沙羅双樹の咲いている場所を選ばれた。そのとき沙羅双樹は真っ白に変化し、八本あったうちの四本は瞬く間に枯れ、残る四本の沙羅は栄えるように咲いたと言われている。これを四枯四栄という。インドの沙羅は大木で、花は黄色っぽい色をしている。日本では夏椿のことをいう。夏椿は花が咲いてもすぐにその花が散ってしまうことから、儚さの象徴にもなっている。涅槃図に描かれた沙羅双樹も、人の一生の儚さを表現しているといえよう。
 京都の妙心寺山内には、東林院というお寺があり、十数本の娑羅の樹(夏椿)が植えられており、六月中旬から七月までの間、沙羅の花を愛でる会が開かれており、毎年多くの方々がお参りに訪れる。

飯沼宗行(花園大学学生)

※日本で唯一、花を咲かせているインド原産の沙羅の木は、滋賀県の草津市立水生植物公園みずの森にあります。