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「【解説】象」

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 象は、インドでは神の使いとして尊ばれており、仏教にもゆかりの深い動物である。伝説によれば、マーヤー夫人が35歳の時、お腹にお釈迦さまを宿されたその前夜、六本の牙をもつ白色の像がお腹の中に入る夢を見たのち、釈尊を懐妊されたという話がある。
 普賢菩薩の乗り物も同じく六本牙の白象である。六本の牙は六根清浄を表し、白象は禅定力が諸行を摂することを象徴している。また、文殊菩薩が「智」を象徴しているのに対し、普賢菩薩は「行」を象徴する。 
 なお、ヒンドゥー教のなかにガネーシャと呼ばれる象の頭を持つ神様がいる。人間の体に片方の牙が折れた象の頭を持ち、四本の腕を持つ。あらゆる障害を司るとされているが故に障害を除く神として信仰され、厄除け、財運向上、また学問の神としても信仰されている。仏教に取り入れられるに伴い、歓喜天(一般的には聖天)と名を変えて、仏教に帰依して仏法僧の三宝を守護するとされ、仏教を守護し財運と福運をもたらす神として日本各地の寺院で祀られている。

香取 芳德(花薗大学学生)

《法話》「象」……福田 宗伸(岐阜・通源寺住職)