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「【解説】迦葉童子」

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 迦葉童子は、迦葉童子菩薩とも呼ばれる。「涅槃図」では、たいてい宝床の手前、釈尊が横たわるすぐ傍に侍り、双髻の童子の姿で描かれている。寺で僧侶の身の回りの世話をする在家信徒のことも童子というが、この場合は十二歳ぐらいの実際の童子が想定されている。
 迦葉という名の佛弟子は多く、なかでも釈迦十大弟子のひとりに摩訶迦葉尊者がおられ、とくに禅門では釈尊の法を嗣がれた方として「拈華微笑」の話でよく知られているが、「涅槃図」に描かれている迦葉童子は、この摩訶迦葉尊者とは別人。
 迦葉童子は、のちに『涅槃経』としてまとめられることとなる釈尊の説法の会座において、対告衆(聴衆の代表者として教えを告げられる者)となった人物であり、この『涅槃経』の内容を聴いて悟りをひらいたと伝えられている。
 『涅槃経』は釈尊最晩年の教えであり、一代の説法の集大成として、宗派を超えて尊重されている経典である。

谷藤 禅興(花園大学学生)

※ちなみに世尊涅槃の時、摩訶迦葉尊者は遠方を多くの弟子たちと遊行中であった。