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「【解説】迦樓羅」

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 迦楼羅は、サンスクリットの「ガルーダ」の音写。もとインド神話の鳥神であるが、仏教に取り込まれ、仏法の守護神となり、天龍八部衆の一に数えられる。金翅鳥(こんしちょう)・食吐悲苦鳥(じきとひくちょう)と漢訳される。
 「涅槃図」では宝床の右側後方に描かれることが多く、鳥の顔をしているか、鳥の冠を被った姿で描かれる。
 鳥頭人身で、翼をもち、横笛や篳篥などの楽器を吹く姿で描かれ、あるいは造像される。また、龍や毒蛇を常食とすることから、龍や蛇を踏みつけた姿で示されることもある。口からは火を吐き、赤い翼を広げると336万里(1344万km)にも達するという。
 仏教では、毒蛇から人を守り、龍や蛇を食らうように衆生の煩悩を食らう神とされ、梵天や大自在天、あるいは文殊菩薩の化身ともされる。また、不動明王の背負う焔を「迦楼羅焔」(かるらえん)というが、これは迦楼羅が口から吐く焔、あるいは迦楼羅そのものであるとされる。
 なお、インドを中心として多くの信者をもつ土着宗教のヒンドゥーでは、迦楼羅を特に信奉する人も多く、かつてインドネシア共和国では国鳥とされ、航空会社の社名にもなっているほど、東南アジアでは馴染みのある神である。

浅野 大智(花園大学学生)

《法話》「迦楼羅・摩睺羅 ―チームワーク―」……小澤 泰崇(山梨・義雲院副住職)