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禅語は味わうもの 書き下ろし
広島県・鳳源寺住職 和田 牧生 
 禅語は、一通りの意味を理解した上で、味わい楽しむものである。
 「下載清風(あさいのせいふう)」という禅語は、出典は『碧巌録』。荷物を満載した船がその荷を下ろしたあと、軽快に帆を張り進んで行く、その様はあたかも心の重荷を下ろしたかの如くである、というのが一応の意味である。
 味わってみよう。

 リュックを背負い夏山登山。山頂に達し汗を拭き拭き下界を一望する。そこに一陣の風。なんともいえない爽快感。「下載の清風」である。


 寂志左乃極
 尓堪弖天地
 丹寄寸留命
 乎都久都九止
 思布
   左千夫詠
    赤彦書


 この春、巡教中、とある旅館のロビーに掛けてあった拓本の額である。旅館の女将は、諏訪の富士見高原にある碑だという。
 左千夫とは「野菊の墓」の伊藤左千夫、赤彦とは島木赤彦であることはすぐに解ったが、何と書かれているか。伊藤左千夫の漢詩だろうか。持ち歩いてた電子辞書で漢字一字一字を調べることしばし。なんだ、当て字じゃないか。『寂しさの極に堪て天地に寄する命をつくづくと思ふ』と読めた。「下載の清風」。
 この歌の意味を考えるとさらに伊藤左千夫に興味が湧いてくる。生い立ち。正岡子規との師弟関係。子福者であるにもその多くが夭折していること。またその時に詠んだ歌。などなど。調べれば調べる程、伊藤左千夫が身近に感じられた。これも「下載の清風」か?
 気づき、新しい発見も「下載の清風」として味わうことができた。

さて、あなたはどんな禅語をどのように味わいますか。
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