中国から渡ってきた禅宗には、一般の方には聞き慣れない用語がたくさんあります。ここでは、それらをご紹介、ご説明します。

禅の用語

あ行

挨拶 あいさつ
挨は「迫る」、拶は「切りこむ」こと。師匠と弟子との問答のやりとりのこと。今では日常語にもなっている。
網代笠 あじろがさ
行脚や托鉢のときに用いる。
阿羅漢 あらかん
羅漢は略称。一切の煩悩を断滅し、なすべきことを完成した人。
行脚 あんぎゃ
広く諸方に師匠を求めて旅をすること。
安居 あんご
釈尊の時代に、雨季の期間は無益の殺生を避けるために、一ヵ所に止住して修行したことを安居という。現在の僧堂では、年中「安居」であるから、夏に限らず一年を二期に分け、二月から七月までを雨安居、八月から一月までを雪安居という。
安単 あんたん
自分の坐禅する場所(→単)に着座すること。
行履 あんり
祖師の行動行状のこと。
行録 あんろく
祖師の行状をしるした記録。
石盥 いしだらい
洗面、手洗いのための用水入れ。豆柄杓に一杯の水で口をすすぎ、顔を洗わねばならないことになっている。
韋駄天 いだてん
伽藍、食物の守り神とされ、庫裡に祀られている。いわば常住の守り神。
一夏 いちげ
僧堂での修行生活は半年が一単位となっており、これを一夏という。
一箇半箇 いっこはんこ
「一人でも半人でも」との意。きわめて少数のこと。
一炷 いっしゅ
炷というのはもともと線香などを数える数詞に添える語で、香の一くゆりという程の意。現在では線香一本の燃えつきる時間、約四十分間を一炷という。「いっちゅう」とも読む。
維那 いのう
法要のとき、誦経の先導や回向文を諷誦する係。
印可 いんか
印信許可。師が弟子に法を授けて、弟子が法を得て悟りを開いたことを証明認可すること。
引磐 いんきん
直日が大衆の行動を指示するのに用いる「鳴らしもの」の一つ。
隠侍 いんじ
師家に直接つかえ日常の世話をする侍者。
陰事行 いんじぎょう
=陰徳(いんとく)
陰徳 いんとく
人知れず大衆のためになることをして、徳を積み心力をたくわえること。
隠寮 いんりょう
師家または長老の居所。
雨安居 うあんご
→安居
烏枢沙摩明王 うすしまみんのう
不浄を転じて清浄にする徳をもつ神といわれ、東司(便所)の護り神として祀られる。
うどん供養 うどんくよう
うどんをふるまうこと。食事のときは一切音をたててはならないが、このうどんをすする音だけは例外的に許容されている。
雲水 うんすい
修行僧のこと。行雲流水のように淡々として一処に止往せず、天下に正師を求めて、遍歴する意よりくる。雲衲ともいう。数量的に大衆ともいう。
雲衲 うんのう
雲水。衲は衣とか、繕うの意。すなわち、破れ衣をつくろって着ている修行僧のこと。
雲版 うんぱん
もともとは寺などで用いる楽器の名。雲の形に鋳付けた青銅板で、庫裡にあって、僧に粥飯を報ずる鳴らしもの。薬石(夕食)には、雲版の代わりに柝木をもって報ずる。
会下 えか
一人の師家のもとに教えを求めて集まった修行者の総称。すでに僧堂を巣立った人たちも含めていう。=会中、門下
回向 えこう
廻転趣向の略。善根功徳を行なって衆生に施すこと。一般には法要、誦経などをして亡者を仏道に入らせることをいう。
衣鉢 えはつ
修行者が常に持参している三衣(袈裟)一鉢(食器)のことで、僧の持物の中で最も重要なもの。転じて宗旨、奥義のことをいう。また、伝法のしるしに師の袈裟と鉄鉢を弟子に授けたことから、法を伝えることを「衣鉢を伝える」という。
園頭 えんず
菜園を管理する係。
延寿堂 えんじゅどう
=病僧寮。
円成 えんじょう
円満に成就すること。十二分に成果をあげて終わること。
遠鉢 えんぱつ
遠方まで托鉢に出かけること。
大四九 おおしく
十四日と晦日のこと。この日は朝日の射すまで寝忘れ(朝寝)ができ、剃髪後、半日がかりで大掃除をする。午後は私用外出することもできる。